カピバラの本棚

住野よる『麦本三歩の好きなもの』好きなものがたくさんあるから毎日が楽しい!

こんにちは、カピバラです。

何気ない日常が、とびきり素敵なものとして映る、そんな魅力のある本を紹介します♡

『麦本三歩の好きなもの』住野よる

衝撃的なタイトルと、映像化もされて話題となった、『君の膵臓が食べたい』の作者さんの作品です。

カピバラ
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『麦本三歩の好きなもの』を読んで、『君スイ』も読みたくなりました!

主人公の麦本三歩って、どんな子?

麦本三歩(むぎもとさんぽ)は、大学図書館に勤めている20代女子。

少し…いや、かなり天然。

挙動不審な言動で、よくぼーっとしているから、仕事でもミスを連発。しょっぱなから上司からお説教を食らっています。

お説教の内容は、図書館利用者から声をかけられて、急ぐためにクラウチングスタートの体勢をとったら、足が偉い先生に当たって、その先生を転ばしてしまったから。

カピバラ
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図書館内でクラウチングスタートって…。図書館で?

三歩はいつも、ぼーっとしている。

そこへ突然声をかけられると、「ふへっ?」や「ぬおっ!」といった奇声を発してしまう。

それに、肝心なところではセリフを噛んじゃう。

上司も先輩は、そんな三歩にあきれ顔をしつつも憎めなくて、可愛がってくれています。

そんな三歩の、好きなもの。

  1. 朝寝坊
  2. チーズ蒸しパン
  3. ラジオ
  4. ブルボン
  5. 歩くこと
  6. 本・図書館
  7. エトセトラ・エトセトラ…

食べることに貪欲で、日常に潜む些細な幸せを探すのが得意な三歩。

カピバラ
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やばい。なんだか、自分と三歩って似てる…?

『麦本三歩の好きなもの』のストーリー

物語は、連作短編の形で構成されています。

それぞれのタイトルは、すべて「麦本三歩は○○が好き」。

第三者目線で語られる三歩の行動が、滑稽なのにリアルで、笑いつつも時に胸にぐっと迫るものもあります。

文章のノリが、

『ごめんなさい前の椅子、私、新しく好きな椅子が出来ちゃったの』

とか言うあたり、まるで誰かのブログを読んでいるような既視感を感じました。

そうそう。三歩以外の登場人物は、「怖い先輩」「優しい先輩」「おかしな先輩」…と、名前が出てこないのも特徴。

カピバラ
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きっと、三歩が見える世界を表したかったからなんでしょうね

麦本三歩はブルボンが好き。私もお菓子はブルボン派!

『麦本三歩はブルボンが好き』の回で、三歩は、ブルボンについて熱く語っています。

「ブルボン原理主義、ラインナップのパワーバランスを…」とか、うにゃうにゃ語りだす三歩に対し、大きく首を縦に振ってしまいました。

カピバラ
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私もだよ!

いや、ブルボンのあのクオリティの高さに対して、あの金額…コスパ高すぎでしょ。

麦本三歩って、本当に天然?

この物語は、大きな事件など何ひとつ起こりません。

ごく普通の女の子(?)の、些細な日常を描いています。

でも、三歩はかなり天然で抜けている女の子。周囲から「天然」と面と向かって言われることもしばしば。…本人にとっては、かなり不本意なようです。

『少なくとも、自分ではきちんと考えて生きているのに』

そう、思っています。

そして、三歩と同じ図書館員の「おかしな先輩」は、天然な三歩を「ずるいくて嫌い」だと面と向かって言います。

『今まで生きてきて、三歩だから許されてきたことってあるでしょ?それが、ずるい』

カピバラ
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これ、言われたら相当ショックだわ… 

物語後半まで、三歩という人間が私に似すぎていて、

「え。住野よるさん、私のこと書いたの?」

って、前のめりで読んでいましたが、おかしな先輩が言ったセリフによって、冷や水を浴びせられた感じがしました。

私は、仲間や友達から、『天然』と言われることがあります。

その言葉を言われるたびに、いつも複雑な気持ちがします。

友達に悪気がないことはわかっていますが、『天然』と言われるたびに、世の中からツマハジキにされる感覚を受けます。

社会人になってからは、『天然』と言われないように注意しながら、仕事をしてきました。

なるべく周りの空気を読みながら、ミスをしないように慎重に…。

自分が、ちゃんとした人間であるようにふるまうことを心がけてきました。

カピバラ
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それでも、やっぱり言われちゃうことがあるんだけど

うまく社会に適合できるように。だから、家に帰ってくると、心底ほっとします。

「あー!本来の自分に戻れた!」

って。

『麦本三歩の好きなもの』は、天然さんにおススメしたい!

これはぜひ、周りから「あなたって、天然だよね~」って言われる人にこそ、読んでもらいたい小説です。

きっと、三歩の気持ちに共感して、頷く箇所が多々あるでしょう!

まわりに『天然』な人がいる人にとっては、

「ああ~、こんなヤツ、いるいる!え、でも、そんなこと思ってたの?」

って、感じてもらえたらいいな。

そして、私は三歩と一緒に、声を大にしてこう言いたい。

『天然じゃないもん!きちんと考えて生きていましゅ!(噛んだ)』