カピバラの本棚

『まなの本棚』天才子役の頭脳を作った本たち

幼少期から、たくさんの本に触れた経験の有無が、今後の学力に大きな影響を与える。

そんな話を聞いたことはありませんか?

力ピバラ

たくさんの育児書を読んだけど、どの本にも必ずと言っていいほど、読み聞かせの大切さが書いてあったよ!

天才子役としてデビューした芦田愛菜ちゃん。
高校生になった彼女は現在、女優業だけにとどまらず、マルチな活躍を見せています。

愛菜ちゃんが本好きになったのは、ご両親が小さい頃から、たくさん読み聞かせをしたからだそうです。

『まなの本棚』には、愛菜ちゃんがこれまでに読んできた本の中から、印象的だった本が100冊、紹介されています。

天才子役を作った本『まなの本棚』についてレビューします!

この記事はこんな方におすすめ
  • 芦田愛菜ちゃんが好き♡
  • 天才子役を作り上げた本について知りたい
  • 我が子を本好きにしたい!

Contents

芦田愛菜ちゃんの『まなの本棚』って?

『Mother』や、『マルモのおきて』でのマルモリダンスで、お茶の間の人気をかっさらった天才子役、芦田愛菜ちゃん。

忙しい女優業のかたわら、受験勉強の期間わずか半年で、偏差値70超えの超難関中学を、複数校合格していた話題も、記憶に新しいですよね。

力ピバラ

小3から勉強しても合格できるのは一握りと言われる超難関校に、半年の勉強期間で合格するのは、数年に一度の逸材らしいよ!まさに天才!

そんな愛菜ちゃんは、年間100冊以上の本を読む、読書家であることも知られています。

愛菜ちゃんが中学3年生の時に、自身の読書体験や、印象に残った本について書いた初書籍が、『まなの本棚』です。

『まなの本棚』で紹介している100冊の本

『まなの本棚』で愛菜ちゃんが紹介している、100冊の本のラインナップをご紹介します。

本好きへの扉を開いた6冊

『おしいれのぼうけん』ふるたたるひ/たばたせいいち童心社
『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル角川文庫
『都会のトム&ソーヤ』はやみねかおる講談社
『ツナグ』辻村深月新潮文庫
『言えないコトバ』益田ミリ集英社文庫
『高瀬舟』森鷗外集英社文庫

ここからスタート!の絵本

『もこ もこもこ』谷川俊太郎/元永定正文研出版
『ぐりとぐら』中川李枝子/大村百合子福音館書店

小学生で夢中になった児童書

『天と地の方程式』富安陽子講談社
『若おかみは小学生!』令丈ヒロ子講談社
『魔女の宅急便』角野栄子福音館書店
『怪盗クイーン』はやみねかおる講談社
『怪人二十面相』江戸川乱歩ポプラ社

次々と読破したシリーズもの

『落語絵本シリーズ』川端誠クレヨンハウス
『ストーリーで楽しむ日本の古典シリーズ』岩崎書店
『小学館版 学習まんが人物館シリーズ』小学館

世界を広げた海外児童文学

『赤毛のアン』モンゴメリ
『あしながおじさん』ジーン・ウェブスター
『ハリー・ポッターシリーズ』J.K.ローリング静山社

気になったらすぐに開く図鑑

『花火の図鑑』泉谷玄作ポプラ社
小学館の図鑑NEO
『星と星座』『宇宙』『岩石・鉱物・化石』
小学館

ゾワッとするSF小説

『ボッコちゃん』星新一新潮文庫
『声の網』星新一角川文庫

歴史がもっと知りたくなる!

『平安女子の楽しい!生活』川村裕子岩波書店
『空色勾玉』荻原規子徳間書店
『白狐魔記』斉藤洋偕成社

熱い友情や〝スポ根”大好き

『夜のピクニック』恩田陸新潮文庫
『バッテリー』あさのあつこよろこびの歌
『風が強く吹いている』三浦しをん
『リズム』森絵都角川文庫

限界へ!自分との闘い

『DIVE!!』森絵都角川文庫

嫉妬やコンプレックス

『反撃』~いつかふたりで草野たきポプラ社
『ふたり』赤川次郎新潮文庫

きょうだいや家族への思い

『一人っ子同盟』重松清新潮文庫
『西の魔女が死んだ』梨本香歩新潮文庫
『本を読む女』林真理子集計社文庫

日本語って奥深い!

『舟を編む』三浦しをん光文社
『不思議日本語ゼミナール』金田一秀穂NHK出版

言葉や伝えるということ

『きよしこ』重松清新潮文庫
『ぼくのメジャースプーン』辻村深月講談社文庫

辻村ワールドにハマるきっかけに

『かがみの孤城』辻村深月ポプラ社

止まらなくなる!海外ミステリー

『シャーロック・ホームズシリーズ』コナン・ドイル
『モルグ街の殺人』エドガー・アラン・ポー
『Xの悲劇』エラリー・クイーン
『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティ

日本文学〈~平安時代〉神話や貴族の生活

『古事記』
『日本書紀』
『風土記』
『源氏物語』紫式部

日本文学〈明治時代~〉人生や恋に悩んだり

『福翁自伝』福沢諭吉
『舞姫』森鷗外
『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『こころ』夏目漱石
『小僧の神様』志賀直哉
『たけくらべ』樋口一葉
『友情』武者小路実篤
『伊豆の踊子』『雪国』川端康成
『細雪』谷崎潤一郎
『智恵子抄』高村光太郎
『一握の砂』石川啄木
『雨ニモマケズ』宮沢賢治
『高野聖』泉鏡花
『破戒』『夜明け前』島崎藤村

太宰治より私は芥川龍之介派!

『蜘蛛の糸』芥川龍之介

戦争について考えるきっかけに

『ガラスのうさぎ』高木敏子金の星社
『永遠の0』百田尚樹講談社文庫

海外文学 答えは一つじゃないはず

『賢者の贈り物』オー・ヘンリー
『変身』カフカ
『レ・ミゼラブル』ヴィクトル・ユーゴー

そしてこれからも…

『海辺のカフカ』村上春樹新潮社

好きな登場人物【男性編】

湯川学『探偵ガリレオ』東野圭吾文春文庫
内藤内人『都会のトム&ソーヤ』はやみねかおる講談社
片山義太郎『三毛猫ホームズの推理』赤川次郎角川文庫
玄之介『あかんべえ』宮部みゆき新潮文庫
堂上篤『図書館戦争』有川浩角川文庫
松本朔太郎『世界の中心で、愛を叫ぶ』片山恭一小学館

好きな登場人物【女性編】

有科香屋子『ハケンアニメ!』辻村深月マガジンハウス
スカーレット・オハラ『風と共に去りぬ』マーガレット・ミッチェル新潮文庫
ジョー・マーチ『若草物語』ルイザ・メイ・オールコット福音館書店
赤羽環『スロウハイツの神様』辻村深月講談社文庫
林香具屋『舟を編む』三浦しをん 光文社
力ピバラ

文学だけじゃなく、エッセイ・科学・図鑑・歴史…と、幅広く読んでいるのがスゴイ!

なかなかこれだけ幅広いジャンルを、まんべんなく読んでいる人も、いないのではないのでしょうか?

愛菜ちゃんが、これだけ読書好きになったきっかけは、何なのでしょうか?

答えは、『まなの本棚』に書かれていました。

『まなの本棚』に見る、芦田家の教育方針

愛菜ちゃんにとって本は、

『いつでも自分の近くに、あたりまえのようにあるもの』
『ずっと遊んでいられるオモチャみたいな存在』

ご両親は愛菜ちゃんに、たくさん読み聞かせをしてあげたそうです。

  • 本を身近に感じられる環境づくり
  • 幼い頃からの読み聞かせ

このふたつが、愛菜ちゃんを本好きにした要因のようです。

以前情報番組で、芦田家の教育方針について、特集が組まれたことがありました。

ご両親は、愛菜ちゃんからの
『なぜ?』『どうして?』
という質問に、出来る限り答えてあげていたと言います。

学びの芽を摘まず、子どもの疑問にとことん付き合ったからこそ、好奇心旺盛で、自ら学ぼうとする子になったのだと思います。

本の紹介だけじゃない!著名人2名との対談

『まなの本棚』では、本の紹介だけでなく、愛菜ちゃんが会いたいと願っていた方との対談が実現しています。

対談のお相手は、

  • 山中伸弥先生(京都大学ips細胞研究所所長・教授)
  • 辻村深月さん(作家)

愛菜ちゃんの質問力が遺憾なく発揮されていて、対談も読みごたえ抜群なんです!

力ピバラ

中学生の時、こんなしっかりした話し方できなかったよ!今でもできない…

山中伸弥先生との対談

山中伸弥先生と言えば、ips細胞を作製したことでノーベル生物学・医学賞を受賞された、現代科学の最先端の研究をされている方です。

愛菜ちゃんの将来の夢は、『科学者と女優、両方とも!』というほど、科学大好き少女!

山中先生への質問では、
『科学はどこまで進歩していいのでしょうか』
という問いかけがありました。

力ピバラ

深い…!

この問いは、山中先生も愛菜ちゃんも大好きなSF小説家、星新一が関係してきます。

星新一のショートショートには、近未来の情報化社会、利便性への警鐘が多く散りばめられています。

山中先生が、『便利と危険は紙一重』という意識を持ち続けているのは、星新一の影響があるからだと感じました。

力ピバラ

星新一は話が短くて、サクッと読める!ラストもぞくっとするものが多くて、やみつきになるんだよね!

山中先生は、村上春樹ファン・SF小説好き。

一流の科学者は研究だけじゃなく、読書から様々な知識を得て、感性を育てているのだと実感した対談でした。

辻村深月さんとの対談

愛菜ちゃんが『神様のような存在』と言っている、作家の辻村深月さんは、私もここ数年、大好きな作家のひとりです。
著書では、

  • 『ツナグ』
  • 『ぼくのメジャースプーン』
  • 『かがみの孤城』
  • 『スロウハイツの神様』
  • 『ハケンアニメ!』


実に5作品も登場しています。

辻村深月ファンなら、誰もが心弾む質問や、感想を愛菜ちゃんが述べているので、「わかる!わかるよ。私も!」と頷きながら読んでいました。

力ピバラ

辻村さんの小説には、作品をまたいで同じ人物が登場する「登場人物のリンク」がよくあるんだけど、これがたまらないんだよね!

愛菜ちゃんの読書スタイル

『まなの本棚』では、愛菜ちゃんが日頃、どんな風に本を読んでいるのか、どんな選び方をしているのかについても書かれています。

力ピバラ

学業と女優業の両輪で、とっても忙しいはず。一体いつ、どんな風に本を読んでいるの?

答えは、『いつでも時間のある時に、気がつけばいつも本を読んでいる』でした。

読書は、歯磨きやお風呂を同じくらい、日常の一部のよう。

力ピバラ

「読書の時間」って決めているわけじゃないんだね

読み方も、3~4冊を同時並行して読むことも、よくあるとのこと。

力ピバラ

ここ、私とそっくり。

愛菜ちゃんの本の選び方は、一風変わっています。

フィーリングに頼ることが多いという愛菜ちゃん。

図書館や書店に行って、ジャンルを絞ることなく棚を行き来しているうちに「背表紙がキラリと光る本」が見つかるといいます。

とても若々しい選び方!

私は、どうしても好きなジャンルや作家に偏りがちなので、彼女の若い、伸びやかな感性を羨ましく思いました。

『まなの本棚』感想

愛菜ちゃんは、年間100冊の本を読んでいると語っていますが、印象では100冊ではとても足らない。年間200冊は読んでいる気がします。

力ピバラ

100冊って、謙遜だと思う!

それぐらい読んでいる本の種類が多いし、本への愛を感じます。

紹介されている100冊は、奇をてらったところはないし、ある意味スタンダード。

だから、読んだことのある本も多いのではないでしょうか?

一度読んだ本を何度も読み返し、そのたびに理解を深めているのがすごいと思いました。

力ピバラ

特に、ミステリーは何度も読み返しているみたい。私は読み返すことはあまりないから見習いたいな

愛菜ちゃんに読んでもらいたい本

芦田愛菜ちゃんに、ぜひ読んでもらいたいな、と思う本があるので、彼女が好きだというミステリにジャンルを絞り、3点、ご紹介します。

力ピバラ

好みが偏っているけど、勝手にご紹介♡温かい目で見て貰えたら嬉しいな♪

篠田真由美『未明の家』建築探偵桜井京介シリーズ

最初にご紹介するのは、篠田真由美の『未明の家』
建築探偵桜井京介シリーズの、第一作目にあたります。

篠田真由美と言えば、特徴的な流麗な筆致!

とにかく文体が華美なので、日本語の美しさをあますことなく堪能できます。

主人公の桜井京介は、建築を研究している大学院生。

奇怪な建物を軸にした悲惨な殺人事件が頻出し、京介が天才的な頭脳を駆使して解決に邁進する――。

力ピバラ

毎回変わった建築が出てくるので、造形をイメージするのが楽しいの!

『人魚は空へ還る』帝都探偵絵図シリーズ 三木笙子

明治時代の帝都を舞台に、新聞記者の里見高広と、美人画絵師の有村礼(本人も美形!)が事件を解決していくシリーズの、第一作目です。

高広と礼の関係は、さながら、明治版のシャーロック・ホームズとワトソン。

実際は、『腰の低いホームズに、横柄なワトソン』(笑)

力ピバラ

ホームズにかぶれている礼が、事件が起こるたびに高広に解決するよう求めるんだよね。

俺様な礼に振り回される、高広が面白いんです!

このシリーズの特徴は、派手な大立ち回りや、暴力シーンはほとんどなく、謎解きと並行して、人の心の機微が、しっとりと描かれていること。

シリーズ全編を通し、美しいものへの憧憬に溢れ、この時代特有の幻想的な雰囲気に満ちています。

時に優しい嘘に幻惑させられ、読了後は心に、ぽっと灯りが灯ったような心地になる…

心満たされる読後感をお約束するシリーズです。

『弥勒の月』弥勒シリーズ あさのあつこ

あさのあつこさんの、初の時代小説ミステリーです。

あさのあつこさんと言えば、愛菜ちゃんも紹介していた『バッテリー』『THE MANZAI』に代表される、少年少女向けの爽やかな青春物が有名ですよね。

力ピバラ

でも、これは人の心の闇や裏側をのぞき込むような、ドロドロした仕上がりなの!

元暗殺者で、現在は小間物問屋の若旦那、という異色の経歴を持つ遠野屋清之介と、切れ者の同心・小暮信次郎が、江戸の闇を暴いていく本作。

主人公のふたりが、とにかく『歪(いびつ』。

何しろ信次郎は、わずかな手がかりから瞬く間に事件を解決に導く抜群の推理力の持ち主ですが、その心には正義感のカケラもありません。

「人間の本性を暴くのがおもしろい」という理由だけで、同心をしているような男なのです。

力ピバラ

ダークヒーロー?それにしては、性格悪すぎ!

対する清之介は、暗殺家業を捨て、小間物問屋の若旦那として「まっとうに」生きようとしている男。

しかし、過去が、信次郎が、清之介を人斬りに戻させようと背後から迫ってきます。

清之介は、過去や信次郎に搦めとられてしまうのか――。

力ピバラ

物語は、ふたりの男を縦糸に、江戸で起こる奇怪で歪な事件を横糸として展開していくよ!

見どころは、何と言っても、清之介と信次郎の関係性

敵かと思えば共闘したり、手を組んだと思えばあっさり掌を返し、共存と離反を繰り返しているのです。

互いが互いを「嫌い」としながら、時に「無性に会いたい」と願い、実際に会えば刃を向けあい、しかし一転、呑気に茶を飲みあったりする。

好きなのか嫌いなのか。
殺したいのか殺されたいのか。

既存の関係の、どれにも当てはまらない、そこがたまらなくファンを魅了します!

力ピバラ

作者が彼らの、どこを終着点とするのか。最終巻までの展開がまったく読めないところも惹きつけられるの!

まとめ

『まなの本棚』についてご紹介しました。

紹介されている本が多岐に渡っているのと、愛菜ちゃんの伸びやかで素直な文章に好感が持てます。

愛菜ちゃんの、
「本って、こんなに素敵で面白いんだよ!」
という熱意が伝わってくる内容になっているので、ぜひ読んでみてくださいね。